栄養サポートチーム活動実績


NSTプロジェクトチーム『その① 当院のNSTについて』

NST-1.jpg1)NSTとはニュートリション サポート チーム(栄養支援チーム)の略です。
 当院では「栄養管理はすべての治療法の基盤」という認識を持ち、栄養管理の立場からチーム医療を行っています。
 栄養状態は、恒常性を維持する能力や自然治癒力に影響し、特に病気の治療においては、チームで関わる栄養療法が必要と考えます。
NST-2.jpg2)これまでのNSTの経緯です。
 栄養管理委員会で栄養障害について議題に取り上げたことから始まりました。長期入院患者の中には高齢で咀嚼・嚥下能力の低下や栄養状態不良の方が多く、対応策の必要性に迫られ、毎月委員会主催のNST勉強会を開催し、NSTプロジェクトチームを立ち上げ、その後、日本静脈経腸栄養学会、日本栄養療法推進協議会の認定を受けることができました。19年5月からはNST外来を立ち上げ活動しています。20年12月には、NST専門療法士認定を2名取得しています。
NST-3.jpg3)NSTメンバーはスライドの通りで、多職種が協働して実施しています。口腔ケアや摂食嚥下機能訓練にも力を入れ、嚥下造影も実施しています。更に現場のP食事介助に当たるケアワーカーの積極的な参加も得られています。


NST-4.jpgのサムネール画像
4)NST活動の流れはスライドの通りです。
 当院では、NST対象者が退院された場合、在宅NSTとして外来や在宅介護サービス部門でNST活動します。




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5)入院施設からの栄養管理を在宅療養に継続していく在宅NSTでは、退院時に栄養管理を在宅療養に継続するため、いろいろな申し送りを重ね、在宅支援サービスや家族への地域拡大型NSTとして活動しています。居宅関連施設入所者や自宅療養者に対して、可能な限り外来管理下のNSTフォローを実践しています。
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6)地域医療連携の場面では、オープンシステムネットワークを活用して、登録開業医や嘱託福祉関連との情報交換及びアフターケアのために連携NST活動を開始しています。
更に、地域の栄養障害者情報への対応としての地域保健活動として健康教育・健康相談などに保健師や栄養士を派遣し、啓蒙活動を行っています。
※ 過去4年間のNST対象者、NST活動実施数、アウトカムなどまとめました。(省略)
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まとめ
1.医療機関において経管栄養における栄養療法が増加傾向にあります。
2.経済的なNST効果を分析するには至らなかったが、臨床的な効果を表現することができました。
リハビリテーション医療を強化する当院では、回復期リハビリテーションの手法を学びながら、リハビリ精度のレベルアップを図ってきています。
リハビリ効果に寄与することを目指し、口腔リハビリテーションケアにもこだわりつつ、協働してNST活動を実施しています。

その② 『NST関与によるリハビリテーション効果』
NST-9.jpg1)回復期リハビリ対象患者の年齢構成です。70~80歳代を中心に、広い年齢層に分布し平均73.2歳です。
2)患群別の年齢構成と認知症合併状況です。整形疾患、廃用症候群において認知症合併の高さが目立ちます。
3)脳血管疾患群においては高次脳機能障害の併存率NST-10.jpg
が65.7%に及びます。
4)日常生活動作(ADL)の上で、リハビリ効果を計りうる評価法として、機能的自立度評価「FIM」を用いて、NST活動の関わる効用を分析してみました。
回復期リハビリ開始までの発症後経過日数を横軸に、入院時FIMの値をプロットし、疾患群別に表示しました。
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発症後の経過日数が長い程、ADL向上過程が既に進んでいるであろうとの想定の下、いずれの疾患群でも、NST対象群の入院時FIM値が全体的に低値域に分布しており、低いADLよりのリハビリ再スタートの状況が読み取れます。NST対象群のリハビリアップの難しさが予想されます。
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5)同様の発症後経過日数を横軸に、リハビリ効果を示すFIM利得、すなわち入院時FIMの獲得差の値をプロットしてみます。ケース数の密度の差はあれ、NST群・非NST群共、類似した利得値の分布がイメージされます。
6)更にリハビリ効果を月単位の値で示す、FIM効率値をプロットしてみました。FIM利得値をリハ実施月数で割っ
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て算出します。前スライド同様、両群に大きな差を読み取れない類似の分布を示します。両群に差が少ないという分析の視点から、NST活動の効用が示唆されます。
7)次に分析法の視点を変え、入院時FIM値を横軸に、退院時FIM値を縦軸に設定してプロットしてみました。非NST群が全体的に回復期リハビリスタート時のFIM値な
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りにパラレルなリハビリ効果を示しているのに反して、NST群では入退院時とも、低いFIM値の領域に留まるグループが目立つ一方で、一部、入院時の低めのFIM値から退院時の値が高値域にシフトし、リハビリ効果を得たと見込めるグループも目につきます。ここでも、NST活動の効用が表現されているデータと解釈できると考えま
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す。

今後、さらなる多角的分析を検討したいと思います。



その③ 『NST活動と栄養ケアマネジメントのコラボレーション効果の分析』
介護療養病棟では平成17年10月より介護保険制度が改正され、栄養ケアマネジメントが導入されました。今回、NST活動と栄養ケアマネジメントのコラボレーション効果を分析してみました。
NST-16.jpg1)当病棟の入院患者概要です。平成17年10月から平成21年3月までの3年6ヶ月における入院患者数は506名、平均年齢は80.3歳、平均要介護度は男性4.05、女性3.58です。
2)平成17年10月から21年3月までの3年6ヶ月間の入院患者を年度別に分けたNSTスクリーニングの評価結果
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です。尚、スクリーニングでは対象・非対象の2種類に分け、その後主治医にコンサルテーションした結果で、対象・対象外れ・非対象に分類しました。対象にあげられたにもかかわらず実施できなかったケースが対象から外された部分で、過去に100件ありました。
3)NST対象者の中での栄養アセスメントによるリスク別
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構成を年度別に示しました。高リスクが増加していますが、当病棟では新規入院よりも転棟者が多く、NST対象としていても安定して移ってくるケースが多くを占めています。
4)NSTスクリーニング判定別に見た栄養ケアマネジメント上のリスク判定の変化では、対象者において、年々リ
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スク改善の割合が高くなっています。






NST-20.jpg5)非対象者においても同様です。
6)栄養ケアマネジメント上、リスク判定の推移を年度別に見ると、前期においては初回評価から最終評価に向けてリスク判定が改善されたケース25件、悪化が9件です。後期においては改善10件、悪化1件となりました。中期においては、改善したケースより悪化したケースがわ
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ずかに上回りました。
7)対象外れ群のリスク変化を見ると、前期において高リスクが28件から25件へ減少しており、栄養ケアマネジメント業務の効果が背景にあることが伺えます。
8)後期においては、高リスクが44件から51件へ増加し、数値的に悪くなったように見えます。しかし中身を分析
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すると経管栄養が増えたことが要因となっており、栄養状態が改善されていたケースはうち20件に及びました。
NST対象と判定されていても、主治医の意向により栄養サポート活動困難なケースが発生しましたが、このような落とし穴を補い合って、NST活動と栄養ケアマネジメント業務とのコラボレーション効果があったと言えます。
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平成20年10月より栄養アセスメントの新基準が導入されました。今後はこれに伴った評価をし、新しいデータの分析を積み重ねていきたいと思います。


その④ 『在宅NSTについて』とまとめ
 NST-24.jpg1)当院在宅NSTは平成18年度から本格的な活動を開始しています。活動の場として、外来、デイケア、デイサービスで行っています。平成20年度の対象人数は141名でした。
2)外来扱いのNST対象者の生活環境は自宅が約半数、ついでグループホーム35%、特養18%の順になっ
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ています。
3)年齢は70~80歳代が圧倒的に多く、20年度には若年者が増加傾向です。
4)要介護度分布では要介護5と認定された方が27%と一番多くを占めています。
5)生活の場として年度別に見ても自宅が圧倒的で、つ
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いでグループホーム、特養の順となっています。20年度には有料老人ホーム入居者の方も2%いらっしゃいます。
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6)赤の部分が嚥下障害のある方を示しますが、20年度には約半数に達するところです。嚥下に問題が無くても、認知症進行にて摂食障害になり栄養状態が悪化していく事例もあります。
7)栄養ルートとして経口が圧倒的に多く、最近になり胃ろう造設する利用者が増加傾向にあります。
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8)これは過去3年間のデイサービスみほの利用者の維持・悪化の分布です。特徴として要介護度4に認定されている方が全体の約4割を占め入退院を繰り返す利用者が多いです。
9)寝たきりになっても自宅で介護したいと頑張っている家族がいる反面、老夫婦世帯や非協力的な家族もい
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て、栄養相談が理解できず、無関心であるのも悪化の原因です。
10)過去3年間のデイケアの利用者は要介護度2~3が多く、半数以上が栄養状態を維持できています。
11)在宅では家族の協力無しでは難しい現状にあります。入院中NST活動をしていることも知らず、理解でき
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ずにいる家族も多く、在宅NSTがうまく維持できない事例もあります。
12)次はデイサービスのエントリー数の推移ですが、他の在宅に比べ病状不安定で入退院を繰り返す利用者が多いため、死亡人数が多くなっているのが特徴です。デイケアのエントリー数はデイサービスの半数以下にな
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っており、自宅に帰り過食で過体重となり栄養相談を行っている利用者もいます。
13)外来ではエントリー数が徐々に増え、20年度は約80名近くになってきています。黄色と赤で示した再開、継続者が累積されてくるため、積極的アプローチが必要か静観かを見極めて観察の頻度に変化をつけ対応して
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いく必要があります。外来のNST対象者はグループホームや特養を生活拠点としている方も多いため、グループホームや特養スタッフにもNSTの取り組みを理解して頂き、お互い知識を深めていくための啓発が必要と考えます。
14)通所利用しながら、訪問看護や介護負担軽減のた
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め滞在施設利用が多いのが特徴です。そのため、在宅で継続していくためには訪看や滞在先での栄養状態管理の必要性も不可欠です。在宅介護施設スタッフ達と利用者の栄養状態を情報交換し共通したケアを提供できるようにすることが必須と考えます。

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まとめ
1.回復期リハビリテーション病棟において栄養障害、またリハビリ効果を高めるNST活動の効用が示唆されました。
2.介護療養の栄養ケアマネジメントのNST活動のコラボレーション効果が認められました。
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3.在宅療養へのNST活動において、栄養状態を維持するための諸支援策が抽出されました。

終わりに
療養病棟での長期的な栄養管理で、食事摂取率が高まり、栄養状態や検査データも改善し、更にADLのア
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ップにつながるケースが多く見られています。これは私達のNST活動の原動力となり、改めてチーム医療の有効性を感じています。
今後もロングタームケアが可能な介護医療環境であることの特性を生かしながら、ライフスタイルに応じた在宅療養下の栄養管理に繋げ、地域に密着した継続性を追求し、長寿社会の健康生活の道標を創り上げたいと願って、日々のNST活動を続けていきたいと考えます。