摂食・嚥下機能検査について

2020年04月21日

 

嚥下障害の方がご自身で出来る「嚥下体操」についてご紹介しました。

 そこで今回は、私たち言語聴覚士が摂食・嚥下障害の診断をする際に行っている「摂食・嚥下機能検査」をご紹介したいと思います。

 「摂食・嚥下障害」の疑いがある方には、はじめに以下の様な簡単なスクリーニング検査を行います。その一例をご紹介します。

 

Ⅰ.問診・精神機能

 ここでは、摂食・嚥下面(食べる・飲み込む)での主訴、食事時間(30分以内を正常とみなす)、食物形態、食事動作(食事姿勢・取り込み・咀嚼・送り込み・嚥下)、介助量(自立・半介助・全介助)、ムセ/痰がらみの有無、発熱を頻回に繰り返しているか・肺炎にかかったことがあるか、認知症の有無等を聴取します。

Ⅱ.摂食・嚥下諸器官の運動機能

 口腔内の衛生状態、下顎・口唇・舌・軟口蓋(口腔内上方の奥の部分)の動きや歯の状態(自歯・義歯の有無等)、湿性嗄声(ガラガラ声)の有無を確認します。

Ⅲ.摂食・嚥下諸器官の感覚

 顔面・口腔内壁(頬の両内側)・舌面・軟口蓋等、嚥下に関係する部位の感覚の低下や異常が無いかを確認します。

Ⅳ.改訂版水飲みテスト

 ※患者様の嚥下障害の症状に応じて可能であれば行います。

 方法:冷水3mlを口腔底に注ぎ、嚥下してもらいます。もし可能であれば、追加して2回嚥下運動を行ってもらいます。もっとも悪い嚥下運動を評価します。 

 判定基準:

評点

症状

1点

嚥下なし、むせるand/or呼吸切迫

2点

嚥下あり、呼吸切迫(むせのない誤嚥の疑い有り)

3点

嚥下あり、呼吸良好、むせるand/or湿性嗄声

4点

嚥下あり、呼吸良好、むせない

5点

4点の症状に加えて、追加嚥下運動(空嚥下)が30秒以内に2回可能

※4,5点で「嚥下障害なし」と推測されます。