歩行補助具について

2020年04月21日

1.歩行補助具とは

 バランスの不安定な方の歩行に際して、足だけでなく歩行補助具を用いることで身体を支える面積を増やし安定性を増やす為に用いられます。基本的にケイン、クラッチ、歩行器の3つに大別されます。

 

2.杖(ケイン)、クラッチの効果

 杖には手のみで支えるケインと、手以外に他の上肢部分も使って複数の部分で支えるクラッチとがあります。

 まず、ケインはT字杖、多点杖に分けられ、T字杖は握りの形状がT型をしたものが代表的で、他にも握りの部分がC型のものと様々あります。また長さの調節も可能で、使用する本人に合わせて調節します。多点杖は杖の脚部が3~4本として杖で支える面積を増やし、安定性を高めた杖もあります。

 次にクラッチについて説明を簡単にしたいと思います。

 クラッチは松葉杖やロフストランド杖といったものがあり、松葉杖は、わきと手で支えるクラッチの代表で、骨折等の免荷・安定性の拡大の目的で最も多く使われています。ロフストランド杖は体重を手と前腕で受け、わきへの圧迫がかからない為、足への免荷を図ったりするのに役立ちます。しっかりとした固定が得られる為、免荷用として用いられるほか、固定性にも優れ、運動失調や上肢の筋力の低下例でも利用されます。この他にも前腕支持クラッチ、上腕支持クラッチ等様々なタイプのクラッチがあります。

3.歩行器について

  歩行器は立位・歩行バランスが不安定な方に利用され、杖等に比べ支持面積が広く、安定性があり、手や腕と歩行器で体重を支える事で足にかかる荷重を減らす事が出来ます。歩行器には一版に病院や施設で使用されているサークル型歩行器、両手で歩行器のパイプを握って移動する二輪型歩行器やピックアップウォーカーがあります。サークル型歩行器は病院や施設等の床面が平坦に作られている場所で有効性を発揮しますが、自宅や屋外では段差が多く、狭くて使いにくいといった場所では使用が難しい点もあります。

 二輪型歩行器は前方に二輪の車輪が付き、後方には車輪がないもので、前方の車輪の部分がバネ式となっており、体重のかけ方に応じて浮き沈みし移動時には車輪として働き、体重をかけると固定されブレーキがかかるようになっています。

 ピックアップウォーカーは車輪の付いていない四脚固定型の歩行器もあり、杖などでは歩行が不安定な症例に用いたりもします。

 

引用文献

赤居正美:歩行補助具.日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会監修:義肢装具のチェックポイント,第6版,医学書院,2003