栄養管理科

栄養管理科

栄養管理科では栄養の面から医療に貢献できる栄養管理を行っています。

  • 安全でおいしい食事の提供

病院食を通じ、栄養状態の改善・早期回復を図ります。患者さん一人ひとりの病態、年齢、性別、身長、体重、活動に対応した栄養管理を行っています。また、飲み込み状態に合わせたおいしい食事を追求し献立改善しながら検討しています。

 

  • 栄養食事指導

医師の指示のもと、生活習慣病を始めとした疾患の改善・再発を防止するための食事について支援します。

 

  • チーム医療への参加

栄養サポートチーム、褥瘡対策チームに参加し、患者さんの栄養状態の改善を務めています。

 

スタッフ紹介

管理栄養士4名

  NST専門療法士 3名

  青森県糖尿病療養指導士 3名

  病態栄養専門管理栄養士 1名

  静脈経腸栄養(TNT-D)管理栄養士 1名

  介護支援専門員 1名

 

【行事食】

当院では、季節に応じた行事食を提供いたします。

左の写真がクリスマスで、右の写真が七夕となっております。

【お誕生日食】

お誕生日にはデザートと茶碗蒸しがいつものメニューにメッセージカードを添えて提供いたします。

 

栄養サポートチーム(NST)

NSTって?

NST = Nutrition Support Team 『栄養サポートチーム』の略称です。

病院で働く、専門職種がそれぞれの知識や技術を出し合い、適切な栄養管理を行うためのチームです。

総合リハビリ美保野病院NST

 

低栄養の方、今後栄養状態の悪くなる恐れのある方への予防などもあわせ、専門職種がそれぞれの知識や技術を出し合い、適切な栄養管理を行うためのチームとします。さらに在宅療養へ戻られても継続した栄養管理を行っていき、栄養状態を維持していけるように活動することを目的とします。

1)  適切な栄養管理方法の選択

2)  適切かつ質の高い栄養管理の提供

3)  栄養障害の早期発見と栄養療法の早期開始

4)  栄養療法による合併症の予防

5)  病院スタッフのレベルアップ

6)  在院日数の短縮と入院費の削減

7)  在宅療養者の再入院や重症化の抑制

8)  栄養素材・資材の適正使用による経費削減

 

当院は療養型病院なので、長期間関わり、経過を見ることができます。また、退院後も継続した栄養管理を行っていますので、入院中だけでなく在宅療養へ戻られても栄養状態を維持していけるように活動しています。

 

総合リハビリ美保野病院NST沿革

平成16年 5月 栄養管理委員会にて初めて議題にあがる
平成16年 7月 栄養管理委員会主催の勉強会を開始(月1回)
平成16年 9月 栄養管理委員会主導にて、準備的トレーニング活動開始
平成17年 7月 栄養管理委員会直轄でNSTプロジェクト、本格稼動
平成17年 10月 日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)NST稼動施設認定
平成18年 9月 日本栄養療法推進協議会(JCNT)NST稼動施設認定
平成19年 5月 NST外来立ち上げ
平成20年12月 NST専門療法士認定2名取得
平成21年 9月 日本栄養療法推進協議会(JCNT)NST稼働施設更新認定
平成23年 2月 NST専門療法士認定1名所得
平成23年 2月 日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)NST稼働施設更新認定

平成24年 2月

NST専門療法士認定1名所得

平成24年 8月

日本栄養療法推進協議会(JCNT)NST稼働施設公認認定
平成26年 2月 日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)NST稼働施設更新認定
平成28年 12月 日本栄養療法推進協議会(JCNT)NST稼働施設更新認定
平成31年 2月 日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)NST稼働施設更新認定

NSTメンバー構成

医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師、管理栄養士、栄養士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、当院では現場で実際に食事介助に当たる介護士も積極的に参加しています。また、嚥下の問題などにより、食事摂取に問題を抱える方が多いので、口腔ケアや摂食嚥下機能訓練に力を入れるため、歯科医師、歯科衛生士、言語聴覚士も積極的に参加しています。そして、さらなる活動の強化のため、摂食・嚥下チームとして4つの分科会(嚥下リハ評価分科会、食事形態検討分科会、口腔ケアリハ検討分科会、呼吸器リハ検討分科会)を編成しています。

 

現在は、前期メンバーの一部がインストラクターとして指導、協力してします。

また、褥瘡対策委員会、感染対策委員会と協働した構成となっています。

 

NST・実際の活動は?

では、具体的に何をするのかというと、入院患者・在宅療養者全員に栄養評価を行い、栄養状態が良くない方、今後悪くなる可能性のある方を見つけ出し、どうして栄養不良なのか?どうして食事が食べられないのか?など原因を調べ、その方に必要な栄養量を計算、それを補うための栄養の摂り方や食事形態などを考えます。その後は食事がどれだけ食べられているか、身体計測、血液検査データの動きを見ながら、その都度考え直しを重ねつつ、継続して活動していきます。

 

【 NST月間活動表 】

 
第1週 LTラウンド

LTラウンド

病棟aBSラウンド

LTラウンド LTラウンド LTラウンド
第2週

LTラウンド

コアミーティング

LTラウンド

病棟bBSラウンド

LTラウンド LTラウンド LTラウンド
第3週 LTラウンド

LTラウンド

病棟cBSラウンド

LTラウンド LTラウンド

LTラウンド

第4週

LTラウンド

LTミーティング

LTラウンド

通所ケアBSラウンド

LTラウンド LTラウンド

LTラウンド

  *BS=ベッドサイド

   LT=ランチタイム

☆活動内容☆

ランチタイムラウンド

毎日の昼食の時間に、実際に食事を食べているところを見ます。

ベッドサイドラウンド

毎週火曜日、対象の方を訪問し、表情や皮膚・筋肉の状態観察を含めつつ、コミュニケーションを図ります。

 

ランチタイムミーティング

月曜日、重点対象者のケースカンファレンスを行います。

NST勉強会

NSTスタッフだけでなく、院内の全スタッフに開放し、一般的な栄養に関すること、病態別の栄養管理についての他、年度始めには新人NSTスタッフを対象に、オリエンテーションなどを行い、スタッフ全体のレベルアップを図っています。

コロナ禍においては、オンライン研修会も取り入れています。

 

 

 

NST活動発表会

1年間の活動の総まとめとして、NST総括発表会を行っています。

各部門ごとに、栄養士からの活動数報告、担当スタッフからの研究が発表されました。

発表内容は年々、とても充実したものとなっています。

 

NST外来

当院では、入院・通所ケア利用の方だけでなく、在宅へ戻られた方へも継続した栄養管理を行い、栄養状態を維持していけるよう、平成19年5月より、月1回、NST外来を行っています。

 

【 NST外来の流れ 】

①血圧測定、身体測定(体重、上腕周囲長、上腕筋皮下脂肪厚、下腿周囲長など)

②管理栄養士による栄養相談(食事実態調査、それを元にしてのアドバイスなど)

③診察

④検査(採血、採尿など)

 

●NST外来を受診された方の症例●

  • A氏(80代女性、認知症なし、参加回数6回)

始めは食欲低下、疲労感、気分の落ち込みが目立っていましたが、NST外来参加を繰り返すうちに、身体計測値や検査データへの関心を示す言動が聞かれるようになりました。また、栄養士のアドバイスを自宅で生かすよう努力が見られるようになり、活気も出てきました。

ゆっくりではありますが、食事摂取率や体重が増加してきています。

  • B氏(80代女性、認知症軽度、参加回数5回)

消化管出血の既往がある方でしたが、病識が薄く、通所中の食事内容やお嫁さんの作る食事(潰瘍食)に不満が聞かれていました。潰瘍食の必要性を繰り返し説明するうち、食事への不満を訴えることが少なくなり、「気をつけなければと思って」「守って食べています」との言動が聞かれるようになりました。

現在まで、腹部症状は無く、栄養状態も保たれています。

  • C氏(90代女性、認知症重度、参加回数3回)

摂食機能(咀嚼、嚥下)低下により、食事中のむせや不消化便が持続し、体重減少が見られました。STの評価をもとに入居施設の職員の方に対し、食形態変更のアドバイスをし、実施されたことで、むせこみ無く、食事摂取量も安定され、検査データの改善、体重増加が見られました。

 

☆NST外来の効果☆

  • 訪問診察だけでは得られなかった情報の収集や現状の把握ができ、問題点や課題がはっきりとし、適切な栄養管理が行えるようになりました。
  • 家族や施設職員の方からも、食事に関する質問や報告が増え、意識して食事状況の観察をするようになったとの声が聞かれるようになりました。
  • 本人、家族、施設職員の方にも栄養サポートの必要性を理解し、個別的な援助方法を知ってもらい、実践して頂けるようになりました。

 

NSTの効果

★腸管が使える方には、静脈栄養から経管栄養への移行がされるなど、適切な栄養ルートの提供ができるようになりました。

★経管栄養から経口に移行、または経管栄養のみから経口と併用できるようになった方が増えました。

★食事摂取率、栄養状態を表す採血データが改善された方が増えました。

★在宅に戻られても、NST活動を継続することで、栄養状態が良好なまま維持されている方が増えました。